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2014 年度 実績報告書

微生物由来新規スチルベン合成酵素の機能解析と非天然型スチルベン誘導体の創出

研究課題

研究課題/領域番号 26882018
研究機関東京大学

研究代表者

森 貴裕  東京大学, 薬学研究科(研究院), 助教 (60734564)

研究期間 (年度) 2014-08-29 – 2016-03-31
キーワード生合成 / X線結晶構造解析
研究実績の概要

昆虫病原性グラム陰性細菌 Photorhabdus luminescens は、スチルベン化合物 (E)-1,3-dihydroxy-2-(isopropyl)-5-(2-phenylethenyl) benzene (ST)を分泌する。この化合物は強い抗菌作用を有する有用化合物である。P. luminescensにおけるスチルベン骨格の生合成経路は植物のものとは大きく異なっており、これまでに2分子のポリケタイド鎖の縮合、環化を触媒する反応は数例しか報告されておらず、酵素の詳細な構造機能解析が行われた例は存在しない。特に、StlDの触媒する反応中、活性化されていない4位のメチレンからもう一方のポリケタイド鎖の1位への求核攻撃は化学的にも非常に興味深い。
そこで、本研究では、StlD-基質アナログ複合体結晶を含む X 線結晶構造解析により立体構造情報を取得し、詳細な酵素反応機構を解明することを目的とした。
野生型および、SeMet置換StlDの結晶についてフォトンファクトリーNW12A、NE3Aにて回折強度の測定を行った結果、野生型が2.0A、SeMet置換体が2.3Aの分解能で全体構造の取得に成功した。
StlDは活性中心残基として必要な3種のアミノ酸残基Cys126、His302、Asn337を有しており、その位置も他のKSと同様に保存されていた。
活性キャビティの大きさは受け入れられる基質から予想していた大きさよりも小さく、Thr96, Ile101, Glu154, Leu193, Ile262, Met 231など、活性部位を形成するアミノ酸残基に嵩高い残基が多く存在することで、活性キャビティの大きさを制限していた。現在、活性部位に存在しているアミノ酸残基に変異を導入し、その役割について検討を行っているところである。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

1年目に結晶化まで進行し、二年目以降、結晶構造に基づく変異体導入、及び、更なる機能変換酵素の創出を行う予定であり、本年度は、当初の予定通り、結晶化、構造解析に成功した。現在既に変異体酵素を十数種類作成しており、それらについて機能を解析しているところである。また、in vitroの機能解析もStlDについては、おおむね完了しており、基質合成、基質特異性、についての検討を終了した。

今後の研究の推進方策

本年度までに、ジアルキル縮合酵素、StlDの結晶化、構造解析に成功したため、引き続き、StlDの立体構造情報を元に、基質の配向に関わるアミノ酸配列に変異を加え、基質特異性、反応性の異なる変異型 StlDを取得する。基質アナログを用いて野生型同様in vitro反応を行い、反応生成物をLC-MS、NMR等の分析手段を用いて分析し、変異型StlDの基質特異性、反応性を調べる。
さらには、芳香化酵素StlCについて結晶化を行う。StlCは細胞膜結合領域を予測するSOSUIやTMHMMなどのソフトからC末に膜貫通領域を有していることが推測されている。そのため、結晶化の戦略として、発現宿主として毒性タンパク質に対して耐性を有し、膜タンパク質の発現に用いられている例の多い大腸菌C43(DE3)株や酵母を用いる。発現、精製においても界面活性剤を用いて酵素を可溶化する方法と、C末側の膜貫通領域を切断したトランケート体を用いる方法を用いる。
上記実験において得られた有用物質を生産する変異酵素を大腸菌、もしくは酵母中に発現させ、基質を投与することで有用化合物の物質生産を行う。その際に、カルボン酸体から開始基質であるCoA体を合成するCoA-ligaseなど、ST生合成に関与する他の遺伝子も異なる耐性マーカーを有する複数のプラスミドを用いて導入することで安価に購入可能な化合物から目的化合物の生産を達成する。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2015 2014

すべて 学会発表 (5件)

  • [学会発表] 新規ジアルキル縮合酵素のX線結晶構造解析2015

    • 著者名/発表者名
      森貴裕
    • 学会等名
      日本薬学会第135年会
    • 発表場所
      神戸
    • 年月日
      2015-03-26 – 2015-03-31
  • [学会発表] 新規ジアルキル縮合酵素のX線結晶構造解析2014

    • 著者名/発表者名
      森貴裕
    • 学会等名
      第20回天然薬物の開発と応用シンポジウム
    • 発表場所
      東京
    • 年月日
      2014-11-05 – 2014-11-06
  • [学会発表] 微生物由来スチルベン合成酵素の機能解析2014

    • 著者名/発表者名
      下村康一郎
    • 学会等名
      第20回天然薬物の開発と応用シンポジウム
    • 発表場所
      東京
    • 年月日
      2014-11-05 – 2014-11-06
  • [学会発表] 微生物由来スチルベン合成酵素の機能解析2014

    • 著者名/発表者名
      下村康一郎
    • 学会等名
      第4回CSJ化学フェスタ
    • 発表場所
      東京
    • 年月日
      2014-10-14 – 2014-10-14
  • [学会発表] 微生物由来スチルベン合成酵素の機能解析2014

    • 著者名/発表者名
      下村康一郎
    • 学会等名
      生薬学会第61回年会
    • 発表場所
      福岡
    • 年月日
      2014-09-13 – 2014-09-14

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公開日: 2016-06-01  

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