研究課題
本研究では、腫瘍関連マクロファージに光増感剤を送り込み、腫瘍深部まで光増感剤を運ばせ、そして光増感剤を取り込んだ腫瘍関連マクロファージが腫瘍全体に分布したところで光増感剤を活性化することにより、腫瘍関連マクロファージとともに周辺のがん細胞を殺傷し、治療することが難しい腫瘍組織深部の効率的な治療を行うことを目指し、腫瘍関連マクロファージに選択的に光増感剤を送達し、さらに腫瘍関連マクロファージに光増感剤をがん組織深部まで運ばせて細胞殺傷効果を誘導すること(ハイジャック)ができる機能を統合した合成高分子(ハイジャックポリマー)を開発することを目的とした。目的の高分子を合成するにあたり、ポリエチレングリコール-ポリアスパラギン酸ブロック共重合体とポリエチレングリコール-ポリグルタミン酸をベースに、腫瘍関連マクロファージをターゲットとするペプチドと光増感剤の導入を試みた結果、ポリエチレングリコール-ポリアスパラギン酸誘導体のポリエチレングリコールの末端にペプチドを導入した親疎水型高分子ミセルが光増感剤を効率的に内包できることを見出した。この光増感剤内包高分子ミセルは培養マクロファージに取り込まれることがin vitroで確認され、さらにこの高分子ミセルをヒト膵臓がん皮下腫瘍マウスモデルに静脈注射したところ、高分子ミセルが腫瘍内に効率的に集積することが見出された。また、その腫瘍から切片を作成し免疫染色した結果、光増感剤が腫瘍内マクロファージに効率的に送達されていることが明らかとなった。これらの結果から、本研究で開発した高分子ミセルは、腫瘍関連マクロファージをターゲットとするデリバリーシステムのプラットフォームになり得ることが示唆された。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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Biomater. Sci.
巻: 4 ページ: 826-838
DOI: 10.1039/c6bm00011h