脊髄損傷などの中枢神経損傷により、神経細胞の変性,神経軸索の損傷が生じれば、神経回路が破綻し運動機能は失われる。その失われた機能は傷害後、一定の自然回復を示すことがある。この自然回復には、神経ネットワークの可塑的・代償的変化が寄与していることが推定されるが、そのメカニズムは未解明なままであった。本研究では脊髄損傷後の運動機能回復において、脊髄運動ニューロンスパインの可塑性変化が運動機能回復に寄与しているという仮説のもと検証を行っている。まず、はじめに脊髄損傷モデルを作成し、運動機能の回復過程を経時的に評価した。具体的には手指の運動機能を司る頸髄領域を損傷させ手指の運動麻痺を誘発した。その後、自然経過に伴う手指運動機能をReaching/grasping taskを用いて約3ヶ月間解析し、予備的な結果を得た。脊髄損傷後の運動機能を経時的に解析することにより、スパインを可視化する時期の検討を行うとともに自然経過によって運動機能が回復することを確認した。脊髄運動ニューロンスパインの可視化については、実験系の確立を進めている段階である。
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