研究実績の概要 |
これまでに時間栄養学の視点を中心に検討を進めてきており、食事タイミングを前進あるいは後退させることによって心臓自律神経活動の概日リズムの位相が変化することを明らかにしてきた。さらには、実際の自由生活下における交代制勤務者においても、朝食時刻が心臓自律神経活動の概日リズムに関わることを明らかにしている。本研究では162名の看護職員を対象とした断面研究において、食行動と交代制勤務との関連を検討した。その結果、交代制勤務者は日勤者に比べて食事内容や食生活の規則性といった点で、食生活上の問題があることが明らかになった。これらの食行動に対して階層的重回帰分析を行ったところ、交代制勤務と食事内容の乱れや食生活の不規則さとの関連は、日本語版Morning-Eveningness Questionnaire(MEQ)を用いて評価した朝型夜型指向性によって媒介あるいは調節を受けることが明らかになった。また、3007名の看護師の集団では、Center for Epidemiologic Studies for Depression State (CES-D)によって評価したうつ傾向と朝食欠食頻度との間に有意な関連がみられ、この関連は朝型夜型指向性によって媒介されることが明らかとなった。朝型夜型指向性と概日リズムの位相とは密接に関連することから、本研究成果は食事や睡眠改善による概日リズムの調節に焦点を当て, 一次予防策としてのアプローチ法を検討していく上で、貴重な基礎資料となることが期待される。
|