研究代表者らは,これまでに大腸菌由来TR(LacI)とGlc/Ac認識タンパク質のキメラタンパク質である人工転写調節因子(cTR)を作成し,cTRの動物細胞発現ベクターをLacオペレーター(Olac)融合レポーター遺伝子とともに細胞に導入して,細胞内センシング技術を構築した.またヒト由来AGEs応答性SREを利用した細胞内AGEsセンシング法の構築を行っている.H26年度では,これらの技術を利用し,新規糖化関連物質応答性転写調節因子様タンパク質(GpTR)の遺伝子およびそのオペレーター様DNA領域(Op)を単離した.また,GpTRの組換えタンパク質およびOp-レポーター融合遺伝子コンストラクトを用いた無細胞レポーターアッセイシステムを構築し,これを用いてGpTRの特性検討を行い,本GpTRが,糖化関連物質応答性転写調節因子であることが示された.H27年度では,本GpTRの糖化関連物質およびOpDNAへの結合能の解析を行った.また,動物細胞内モニタリング系の構築を行った.GpTRの動物細胞発現ベクター,およびOp-レポーター融合遺伝子コンストラクトを導入したヒト細胞を培養した後,レポーターの発現量を測定した結果,細胞内糖化関連物質の濃度に依存して,レポーター遺伝子の発現が制御されていることが示唆された.このことから,本研究により構築されたGpTRに基づく細胞内モニタリングシステムは細胞内糖化関連物質の測定を可能とすると期待される.
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