研究課題/領域番号 |
26882050
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研究機関 | 同志社大学 |
研究代表者 |
中村 雅俊 同志社大学, スポーツ健康科学部, 助教 (20735287)
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研究期間 (年度) |
2014-08-29 – 2016-03-31
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キーワード | ハムストリングス / 肉離れ / 筋硬度 / せん断波エラストグラフィー |
研究実績の概要 |
本研究の目的はスポーツ障害の中で発生頻度の高いハムストリングスの肉離れの発生原因,特になぜ,ハムストリングスの構成する筋の中でも大腿二頭筋の近位部に好発するかを解明することであった.今年度は,ハムストリングスの各部位の解剖学的特徴を明らかにするため,超音波エラストグラフィ機能を用いてハムストリングスを構成する各筋(大腿二頭筋,半腱様筋,半膜様筋)の筋硬度を測定する事に取り組んだ. ハムストリングスの筋硬度の測定の再現性は十分,確認されていなかったので,最初に超音波に搭載されているせん断波エラストグラフィ機能を用いて,安静時における各筋の各部位(近位部,中間部,遠位部)の筋硬度測定の再現性の確認を行った.その結果,各筋における全ての部位で高い再現性を示した.また,各筋(大腿二頭筋,半腱様筋,半膜様筋)と各部位(近位部,中間部,遠位部)を2要因とした分割プロット分散分析を行った結果,有意な交互作用は認められなかったものの,部位に主効果を認めた.事後検定の結果,遠位部の筋硬度は中間部や近位部と比較して有意に高値を示す結果となった.ハムストリングスの肉離れは,前述のように大腿二頭筋の近位部に好発することが知られているが,本研究結果は,遠位部の方が近位部や中間部と比較して硬いという結果となり,大腿二頭筋の近位部に好発するという先行研究を支持しない結果となった.そのため,ハムストリングスを構成する各筋の解剖学的特徴では肉離れの発生原因を説明することは出来ない可能性を示す結果となった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究では,最初は筋硬度を測定するためにStrainエラストグラフィを用いていた.Strainエラストグラフィは超音波プローブを通じて検者が加えた圧迫を外力として利用する方法であるため,検者の手技による外力が測定の妥当性や再現性に影響を及ぼすことが指摘されており,本研究においても再現性の担保が難しかったため,超音波プローブが誘発するせん断波の速度を測定し,筋硬度を算出するせん断波エラストグラフィを使用するように変更した.本年度は本実験を実施する前に,再現性などの確認を行っていたため,当初の計画の進行がやや遅れる結果となった.
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今後の研究の推進方策 |
せん断波エラストグラフィを用いた筋硬度測定の再現性は確認でき,ハムストリングスを構成する大腿二頭筋と半腱様筋,半膜様筋における筋硬度の特性を明らかにすることが出来た.そこで筋の伸長に伴う筋硬度の変化についてハムストリングスを構成する各筋別に詳細に検討する.次に,肉離れの発生機序と考えられている遠心性収縮介入前後の筋硬度の変化を検討することで,ハムストリングスの肉離れ発生のメカニズムの解明を行う.
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