研究課題
本研究の目的はスポーツ障害の中で発生頻度の高いハムストリングスの肉離れの発生原因,特になぜ,ハムストリングスの構成する筋の中でも大腿二頭筋の近位部に好発するかを解明することであった.今年度は,ハムストリングスの各部位の機能的特徴を明らかにするため,肉離れの発生に関与していると考えられている遠心性収縮介入による筋の微細損傷の程度に着目した.具体的には,遠心性収縮介入前後において,超音波エラストグラフィ機能を用いてハムストリングスを構成する各筋(大腿二頭筋,半腱様筋,半膜様筋)の筋硬度の変化の大きさを比較,検討する事に取り組んだ.本研究では,健常若年男性14名を対象に実験を実施した.被験者は座位にて膝関節90°屈曲位から完全伸展位(0°屈曲位)の範囲で最大遠心性収縮を6回×5セット,計30回実施し,遠心性収縮介入前後に股関節90°屈曲位,膝関節45°屈曲位で,超音波のせん断波エラストグラフィ機能により大腿二頭筋,半腱様筋,半膜様筋の筋硬度を測定した.本研究の結果,遠心性収縮介入により半膜様筋に有意な変化は認めらなかったが,大腿二頭筋と半腱様筋は有意に筋硬度が増加した.遠心性収縮などによる筋硬度の増加は筋損傷の程度を示していることから,以上の結果と併せて考えると,遠心性収縮により半腱様筋と大腿二頭筋は半膜様筋と比較して筋損傷を起こしやすい可能性が考えられる.この機能的な特徴が大腿二頭筋に肉離れが好発する原因解明の一助になる可能性が考えられる.
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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