研究課題/領域番号 |
26882053
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研究機関 | 大阪体育大学 |
研究代表者 |
山本 真史 大阪体育大学, 体育学部, 助手 (40736526)
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研究期間 (年度) |
2014-08-29 – 2016-03-31
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キーワード | 重力 / 運動制御 / 中枢神経系 |
研究実績の概要 |
地上でヒトが運動する際、重力は常に身体を鉛直下方向に牽引する。そのため、重力は運動を拘束するが、ヒトは目的とする運動を概ね適切に遂行、達成することができる。これは、脳および脊髄から成る中枢神経系が、身体に働く重力の作用を考慮して運動を計画、制御していることに起因すると考えられている。しかしながら、そのような重力の身体に対する作用を考慮した運動計画・制御が、どのような中枢機序で為されているかについての検証はこれまでほとんど行われていなかった。この中枢機序の解明は、ヒトの運動計画・制御について理解を深めるために有用であると考えられ、本研究の目的である。平成26年度は、その中枢機序を解明するための基礎を為す行動学実験を行った。実験において、実験協力者は鉛直上方向および下方向への指差し(上肢ポインティング)運動を遂行した。運動準備中および運動遂行中、上肢に貼付された反射マーカーの座標値を取得した。その取得した座標値に基づき、運動の解析を行った。特に、上肢の角加速度を生成する要因に着目して解析を行い、運動(鉛直上・下)方向に応じた特性を確認することができた。この解析結果の一部を、平成26年度に行われた研究会合(平成26年度JAXA宇宙環境利用科学委員会 第10回「宇宙環境へ適応するための感覚―運動ゲインコントロール」についての研究チーム(RT)会合)で発表した。この実験におけるデータ解析を現在もさらに進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成26年度は、鉛直上・下方向への指差し(上肢ポインティング)運動における上肢の角加速度の成因に着目して、行動学実験を行った。この実験は、上肢に働く重力の作用を考慮する中枢機序を明らかにするための基礎を為す実験であり、平成27年度に本実施する予定の神経生理学実験に対して有用な知見を取得することができた。現在、この行動学実験の解析をさらに進めている。また、平成26年度は行動学実験と並行して、神経生理学実験の準備を進めてきた。平成27年度には、神経生理学実験の準備を終え次第、本実験に入る予定である。
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今後の研究の推進方策 |
平成27年度は、上肢に働く重力の作用を考慮した運動制御の中枢機序を直接的に解明するために、平成26年度から準備を行ってきた神経生理学実験を進める。また、平成26年度に行った行動学実験のデータについてさらに解析を進め、実験データをまとめる。
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