当該研究は、災害報道のベターメントを期するため、メディアの位置づけを単なる“情報の伝え手”から“共にコトを為す”関係当事者にシフトチェンジすることのポテンシャリティを考察することを主眼としていた。そのために、地域防災活動を推進するフィールドにエントリーして、アクション・リサーチを縦断的に展開し、理論的研究と実践的研究の両側面からアプローチする計画であった。 実績の概要を簡潔に述べると、理論的研究では、日本の災害情報研究の系譜における「災害報道研究」の知見を整理して、「災害ジャーナリズム論」の足掛かりを築くことができた。その成果は、共著書2冊にまとめ、すでに公刊している。 実践的研究では、当初予定していた和歌山県内のフィールド調査は残念ながら不調に終わったが、サブで構えていた神戸市長田区真陽地区において目覚ましい進展を遂げることができた。学会発表を多数おこなうことができ、また、関連する防災コンテストでの受賞やメディア報道などの実績も数多く積み重ねることができた。 これらの成果をふまえて、今後も、当該フィールドに軸足を据えて、ステップアップさせた研究・調査活動を実施する予定である。
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