本研究の目的は、スポーツ選手が受傷体験をどのようにアスリートとしての成長につなげているのかを明らかにし、当該アスリートのより有効な心理支援の方法を構築するための示唆を得ることであった。 上記の目的を達成するために、慢性的な腰痛を抱え、さらにそれが引き金となり、競技意欲の低下を訴えて来談したアスリートの心理相談事例の分析を行った。その後、自己への気づき、およびスポーツ傷害の受容と受傷後の成長の関係を検討した。1ヶ月以上の受傷経験のある227名の大学生アスリートへの質問紙調査を行った結果、自己への気づきを深めることによって受傷経験を心理的成長につなげていることが示唆された。
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