本研究はツーリズム産業の進出により、若者の都市流出と農地の喪失が起きているバリ島北部サバ川流域を対象とし、住民主体の水利組織スバックの調整機能を明らかにするとともに、開発途上国の実情に即したコミュニティ主体型ツーリズムのあり方を提起するものである。 本研究により(1)スバックはツーリズム開発に対し、何ら意見をはさむ権限をもっていないこと(2)ツーリズム開発により構成員の数が減少し、構成員が規則を遵守しなくなってきていること(3)ツーリズム産業以外の経済活動もまたスバックの公平な水分配を阻害していることが明らかになった。
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