人類の技術的、文化的進歩の必然的帰結といったイメージが付与されてきた国家とその形成プロセスについて、古典的文化進化論を打破する意も含め、理論的検討を試みた。その成果は、昨年度に確定していた単著の出版、加えてセミナーおよびシンポジウムでの複数の招聘講演という形で、順次発表した。 さらに上記理論的検討の実証面を補うべく、西アジア(イラン・イスラム共和国)に由来する広島大学所蔵考古資料の整理・分析を本格化させた。本年度にもとづく成果を国際学会でも発表し、資料総体の学術的価値を向上させることができた。広島大学所蔵資料は以降も分析の中核を成すが、研究資源としての国際的評価を本年度獲得できたことから、今後の成果についても期待がもたれる状況を整備できたと考える。 上記資料について、より詳細な年代的・文化的・歴史的位置付けの推定を可能にすべく、絶対年代測定用試料や層序のデータを取得するフィールドの確保にむけ、イラン・イスラム共和国での交渉・事前調査を実施した。現地での遺跡踏査を実施した結果、適う対象を選定することができた。
|