平成26年度は、「色葉字類抄」所収語の研究、「色葉字類抄」関連文献書誌調査、「色葉字類抄」データベース構築、黒川文庫書誌調査、学会発表、論文投稿を行った。 書誌調査は、山田孝雄文庫(富山市立図書館)にて、山田孝雄『色葉字類抄』解説の自筆稿本や、花山院本「伊呂波字類抄」等について、撮影、調査を行った。またこの結果を反映した原稿を「訓点語と訓点資料」第134輯に投稿し、掲載された。(「「いろは字類抄」伝本研究―調査報告を中心として―」) 10月には日本語学会(「『色葉字類抄』の分類意識―「人事」「辞字」部の動詞形項目の配置を中心に―」)、11月には訓点語学会(「『色葉字類抄』「雑物部」の研究」)にてそれぞれ口頭発表を行い、日本語学会の口頭発表に対し、「2014年度日本語学会秋季大会発表賞」が授与された。また日本語学会での発表内容の一部は「日本語学論集」第11号に投稿し、掲載された(「三巻本『色葉字類抄』人事部・辞字部の性質」)。 「色葉字類抄」データベースは試用版からURLを東京大学に移動し(http://jiruisho.l.u-tokyo.ac.jp/)、着実にデータ化作業を進めている。 また、1年を通して、所属研究室である東京大学国語研究室所蔵黒川文庫の調査を行い、調査結果を「日本語学論集」第11号に投稿し、掲載された(藤本灯・林禔映・田中草大・南雲千香子・小野響太「東京大学国語研究室蔵黒川文庫目録<辞書之部>は~よ」)。 以上は、交付申請書の「研究の目的」に記した、(1)『色葉字類抄』収録語彙の性格についての調査・検討、(2)『色葉字類抄』伝本の書誌調査、(3)『色葉字類抄』収録語彙のデータベース化作業、(4)「黒川文庫」〈辞書之部〉の書誌調査、の四点について、各実施計画を予定通り遂行したものである。
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