平成27年度は、「色葉字類抄」所収語の研究、「色葉字類抄」関連文献書誌調査、「色葉字類抄」データベース構築、黒川文庫書誌調査、学会発表、論文投稿、著書刊行を行った。具体的には以下の通りである。 書誌調査は、龍門文庫(奈良)、國學院大学(東京)にて行い、これまで内容の明らかにされてこなかった「色葉宇類抄」伝本について、新たな知見を得た。 平成27年11月には訓点語学会研究発表会にて口頭発表を行った(「色葉字類抄データベースの構築と展望」)。また平成28年2月には第21回公開シンポジウム「人文科学とデータベース」において藤本灯・志村誠・津村昌祐・北﨑勇帆の連名で口頭発表を行った(「古辞書データベース構築の過程―院政期の国語辞書『色葉字類抄』を例に―」)。 また1年を通して、東京大学国語研究室所蔵黒川文庫の調査を大学院生等と共同で行い、調査結果を「日本語学論集」第12号に投稿し、掲載された(藤本灯・林禔映・田中草大・南雲千香子・小野響太「東京大学国語研究室蔵黒川文庫目録〈辞書之部〉ら~を」)。 平成28年2月には単著『『色葉字類抄』の研究』(勉誠出版株式会社)を出版した。また平成28年3月には本書に載録した論文の一つである「字音から見た三巻本『色葉字類抄』「仏法部」の性質」に対して「漢検漢字文化研究奨励賞(優秀賞)」を授与された。 以上は、交付申請書の「研究の目的」「研究実施計画」に記した(1)『色葉字類抄』収録語彙の性格についての調査・検討、(2)『色葉字類抄』伝本の書誌調査、(3)『色葉字類抄』収録語彙データベース化作業、(4)「黒川文庫」〈辞書之部〉の書誌調査、の四点について、計画を予定通り遂行したものである。
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