本研究は、ロシア語母語話者による日本語の自然発話音声について分析を行う。平成25年に対象とした同一の被験者に、2年後の平成27年に再び日本語能力と発話音声を観察する縦断調査を行った。本研究は新規の分野であり、収集された日本語能力測定結果および産出音声データ自体が貴重な資料である。分析の結果、以下のことが明らかになった。 1) モスクワで日本語を専攻する学習者の日本語能力は、1年間という短期間の学習で初級レベルから中級レベルに向上する様子が見られた。 2) 学習者の日本語能力が中級レベルに到達した後、モスクワのような外国語学習環境では学習者の日本語能力レベルの向上が緩やかになる様子が観察された。
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