研究課題/領域番号 |
26884018
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
塚原 伸治 東京大学, 東洋文化研究所, 特任研究員 (30735569)
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研究期間 (年度) |
2014-08-29 – 2016-03-31
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キーワード | 民俗学 / 商店街 / 商工業 / 中小企業 / 柳川市 / 香取市 |
研究実績の概要 |
千葉県香取市佐原における商工業の現状について、聞き書きと参与観察を中心とした現地調査をおこなった(11月と2月の計2回)。特に商店経営者の地域振興への対応と連帯のありかたについて、商工業関連の団体(各種組合等)および香取市商工観光課の取り組みを中心に調査を実施した。特に、「ふるさとフェスタさわら」「商工業振興祭」での参与観察を行い、商店街活性化への取り組みについて明らかにした。 その結果として、佐原の小売業における「新しい」商売の導入は、大胆な業種転換の形で行われるのではなく、従来の業種の範囲内で行われる傾向が強いことが判明した。(1)地域内の同業他社が減少し、転業のメリットが少なくなったこと、(2)各業種の専門化やシステム化に伴い、転業のためのコストが高くなったことなどが理由として考えられる。それは当事者たちにとってはネガティブに語られる要素である反面、「老舗の力」をアピールするためのメリットともなっている。 事前調査では、佐原においては業種の転換が頻繁に生じていたことが明らかになっているが、現状は以上の通り、大規模な業種転換は少なくなっている。このような変化がいつ生じたのか、そしてそれはどのような社会的状況と関連しているのかという問題が新たな課題として生じた。 福岡県柳川市の商店街については、現地での調査の代わりに、商工業者の地域を越えたつながりである観光業の全国組織に参加するインフォーマントに同行し、東京で開催されたある会合についての調査を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
9月以降の研究実施となったが、2回の現地調査を実施することができ、データも十分に得ることができたため。特に商工業振興祭での調査において参与観察をおこなうことができたことは、本研究課題にとって重要な進展であった。事前調査にもとづく予想とは異なるデータも得ているが、それを翌年度の研究に組み込むことで、更なる研究の発展が期待できる。
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今後の研究の推進方策 |
佐原の商工業について、業種転換が現在でも多いことを念頭に研究計画を作成したが、近年急激に業種転換が行われなくなっていることが判明した。この変化は多くの外在的要因に基づいていると考えられるため、より巨視的な視点で地域の変化を理解していくことが必要になる。
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