本研究は、地方都市商店街の現代的状況を民俗学的視点から明らかにすることを目標とし、千葉県香取市および福岡県柳川市のふたつの商店街において調査を実施した。その結果以下のことが明らかになった。(1)実際には昭和初期に誕生したものであるとはいえ、すでに世代交代を経験した当事者たちにとって、商店街は「伝統」とみなされていること。(2)商店街は当事者のみならず、外部アクターによって資源化されており、小売店を辞めたあとも自宅として商店街に住み続ける住民の存在は「シャッター商店街」言説のなかで不可視化されていること。
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