平成27年度においては、16世紀前半以前の西部・北部ドイツ語圏におけるロヒール・ファン・デル・ウェイデン(ca.1400-1464)の受容に関連する資料収集を行い、これらを前年度に作成したロベール・カンパン(ca.1375-1444)の受容に関連する作品画像および文献情報・データを完備したフォーマットに入力する作業を進めた。これと同時に、関連資料を精査してファイリングを進めるとともに、未収集の資料・画像データを特定・入手のための作業を行った。秋季は、バーゼル、ケルン、ミュンヘン、フランクフルトに滞在し、ヴァルラフ=リヒャルツ美術館、ミュンヘンの中央美術史研究所、シュテーデル美術館等で、資料収集・作品調査を実施し、美術館や教会等において関連作品の実見調査を行った。本研究を進める上で有益な資料や情報を入手することができた。冬季には、ブリュッセルに滞在し、ブリュッセル王立美術館やブリュッセル王立博物館にて実見にもとづく作品の調査を遂行した。本研究を進める上で不可欠な最新文献情報と研究状況を把握するために、王立文化財研究所に赴いて、関連文献や関連画像を収集した。さらに初期ネーデルラント絵画研究の専門家であるブリュッセル自由大学のディディエ・マルテンス教授と情報を交換した。上述の実見調査で得られた観察・所見にもとづいて、情報の入力作業を行い、これらの調査を活かしていくつかの論文を執筆・公刊した。
|