本研究は、西部・北部ドイツ語圏におけるロベール・カンパンとロヒール・ファン・デル・ウェイデンの受容を考察するものである。16世紀前半以前の西部・北部ドイツ語圏では、初期ネーデルラント絵画が早い時期から流通し、同絵画の影響を強く受けた作品が多数制作され、特異な伝播形態をとった。そこで、初期ネーデルラント絵画を代表する画家である、カンパンとロヒールを中心として取り上げ、当該地域における二入の画家の様式の展開と図像の波及を、具体的な作例に即して分析する。かかる特異な伝播を、さらに社会的背景や宗教的背景に照らして考察し、西部・北部ドイツ語圏における二人の画家の受容の実態を明らかにすることを目指す。
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