本研究は、現在もなお生きている信仰である長崎県下のカクレキリシタンをめぐる文化遺産化の問題を主題としたものである。本研究ではまず、長崎市外海地区のカクレキリシタンの変遷と現状について明らかにした。外海地区において行ったフィールドワークから見えてきたのは、カクレキリシタンは近年大きく変化しているということだった。次に、オラショ(祈祷文)の公開に焦点を当てながらカクレキリシタンの文化遺産化と継承について考察した。さらに、近年活発に行われている「長崎の教会群とキリスト教関連遺産」の世界遺産登録運動と同運動のカクレキリシタンへの影響について明らかにした。
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