近年、新アリストテレス主義などによって、従来英米圏の倫理学で支配的だった合理主義に多くの問題が指摘されている。それら反合理主義的なアプローチは一定の支持を集めたものの、合理主義を決定的に論駁するには至らなかった。本研究では、従来、規範倫理学のレベルで語られることが多かった反合理主義をメタ倫理学のレベルで検討することで、改めてその妥当性を検討した。 その際、反合理主義の原点をG.E.M.アンスコムの倫理学に求め、その基礎を明らかにしつつ、その立場を継承したB.ウィリアムズの倫理学をR.M.ヘアやT.ネーゲルの合理主義と対比し検討することで、両者が対等な関係に立ちうることを明らかにした。
|