本研究を通して、モダニズム時代の文学研究に新しい視点を提供することができたと自負している。モビリティとコンタクト・ゾーンという鍵になるふたつの概念を導入することによって、近視眼的ではない広い視点で文学運動としてのモダニズムを捉えなおすことができた。また、人の動きとそれによってもたらされるさまざまな接触(時には交流という形で、時には敵対という形で)が文化テクストの生成にどのような影響を与え、またそれらのテクストにどのようにそうした接触が表象されているかを考察することで、人種、セクシュアリティ、階級の差異によって細分化され分断されているかに見える大戦間期アメリカの文化的風景の見直しを行った。
|