本研究は、日本語話者児童による英語音声の知覚能力が、成人のものに比べ、トレーニングにより向上しやすいという仮説を検証することを目的としている。そのため、日本語母語話者の児童及び大人(18歳以上)に対し、英語音声/r/-/l/を対象とした視聴覚トレーニングを10日間行い、その前後で/r/-/l/の識別能力がどのように向上するか、調査する。特に、視覚情報の読み取り能力、視覚と聴覚の統合能力に焦点を当て、分析を行う。 平成26年度は、上記トレーニングで使用するためのプログラムの作成に取り組んだ。まず、ロンドン大学(UCL)を訪問し、27名の標準英語話者による英単語(各480語)を録音し、またその口の動きを録画した。同時に、それらの音声や動画を取り入れる視聴覚トレーニング及びテストを作成した。また、/r/-/l/の識別といった行動的評価だけでなく、脳波測定によりその知覚能力を測れるよう、Electroencephalography(EEG)のシステムを開発しているBrain Products社主催のワークショップ(ミュンヘン)へ参加し、その使用方法を学んだ。最後に、視聴覚トレーニングの比較対象となる聴覚トレーニングの効果を学会論文にまとめた(平成27年8月掲載予定)。 平成27年度には、トレーニング及びテストプログラムを完成させ、日本語母語話者の児童と大人(18歳以上)を対象に実験を行う。視覚、聴覚、視聴覚の3つの観点からトレーニング効果の分析を行う。
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