インド亜大陸北西部に位置するインド領パンジャーブおよびパキスタン領パンジャーブから、カナダ・トロント市周辺へ移住した人々の生活やパンジャーブ移民同士の関係について調査を実施した。 本研究を通して、インド・パキスタン移民の中でも文化的近似性の強いインド出身パンジャーブ移民とパキスタン出身パンジャーブ移民が、出身地ではほぼ不可能である相互交流をもち、分断されている現在のパンジャーブ地方を越境的に捉え直す実践がなされていることが明らかになった。移民が発信する越境的パンジャーブの姿は、国境線による領土範囲に基づき文化的差異を認識させる国民国家の枠に留まらない文化の越境性を示しているといえる。
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