本研究の目的は、地域金融機関の情報の非対称性を解消する次世代型知財価値評価手法の開発とこのシステムを用いた金融機関向けリレーションシップバンキング価値教育手法の実践である。平成27年度の研究は実施計画の内容に則して実施した。 ①平成26年度に実施したアンケートを基に、得られたデータのクロス集計並びにクラスタリング分析を行い評価のカテゴリと再分類を行った。その結果35の評価項目を6のセグメントに再分類し、実際に地域機関が持っている非財務情報関心事とその課題を整理することができた。 ②アンケートの結果特徴的だった金融機関3銀行へのインタビューを行い、我々の調査結果と実際の金融機関の取り組みの意識の違いについて調査を行った。その結果我々がイメージするよりも知財が直接持つ価値よりも間接的な価値により関心事の比重があることがわかり、価値判断時の指標の重み付けに本項目を当初よりも強く反映するに至った。 ③これらの結果から地域密着金融向けの地域企業の知財取り組みにおける定量評価指標を作成した。項目指標は前出の6つのセグメントの中に中項目小項目として、分類指標を提示し企業の取り組みについてより詳細な項目立てを行った。この項目について地域中小企業5社に金融機関が関心事として高い非財務情報項目のあり方を説明し、インタビューを行った。 ④協力銀行に対し、これらの研究結果を報告して地域中小企業の知的財産および非財務情報の評価手法を策定した内容について報告を行い、調査結果の普及を行った。
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