ロシア帝国の崩壊がロシア・ユダヤ人に与えた影響のなかで、本研究は、彼らのユダヤ人としてのあり方への影響を探った。特に、自由主義系のユダヤ人に着目し、シオニストと自由主義者の議論を読み解いた。帝国崩壊は、彼らのユダヤ人としてのあり方にロシアという場が重要であったことを浮き彫りにした。すなわち、西欧化の推進者としての役割や、経済的機能などの点で、「後進的」ロシアだからこそユダヤ人が活躍する余地があると考え、それゆえに彼らはロシアという場を重視していたのである。自由主義者はあくまでもロシアの再考を追求したが、シオニストの多くは、ロシアを失ったことで孤立化の道を歩んでいくことになった。
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