研究実績の概要 |
平成27年度は、ゼミナールの授業外での活動について実態を明らかにし、汎用的技能を中心とする学習成果との関係を実証的に検討するために、①学生に対するインタビュー調査と②教員に対する質問紙調査を行った。 具体的に①では、大学院生7名と学部生5名の計12名を対象に、ゼミナールの授業外での活動を中心として、a. 構成(活動の進め方・教員の指導のあり方)、b. 経験(活動から得た経験の内容・質)、c. 成果(学生が身につけた知識・理解・能力・態度)の3つの視点に基づいて半構造化面接インタビューを実施した。得られた発話データはすべて書き起こし、佐藤 (2008a, 2008b) の手順に基づいて、文書セグメントをコーディングし、文書-コード・マトリックスにより複数のケースを比較した。 その結果、サブゼミやインターゼミ、ゼミ合宿などでは、学年や大学の異なる学生との交流、辞めたくなるほどハードな活動やゼミ生との葛藤を通じて、そのゼミだからこその経験を積んでいる様子が示唆された。また、授業外でのノンフォーマルな活動の多くは学生の主体性に一任されているものの、授業内でのフォーマルな活動と継ぎ目なく繋がっているため、両者を切り分けて学習成果を論じることの難しさが明らかになった。 そこで、続く②の調査においては、ゼミナールに対する教員の信念、授業内-外における活動の進め方とそれに対する指導を中心に、教員が学生に期待している経験の内容や質を検討した。東京都内に本部が所在する大学の中で、人文学、社会科学、総合科学系学部に所属している教員(専任講師以上)からランダムサンプリングで抽出した525名に調査票を郵送した結果、154名の教員より回答が得られた。
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