研究課題/領域番号 |
26885023
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
小原 優貴 東京大学, 大学総合教育研究センター, 特任研究員 (70738723)
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研究期間 (年度) |
2014-08-29 – 2016-03-31
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キーワード | インド / 無認可学校 / 非正規教育 / 支援ネットワーク |
研究実績の概要 |
本年度は、政府から認可を受けていない無認可の低額私立学校(Low-fee private[LFP]学校、以下LFP学校)とそれを支援する組織に関する調査を、ハイデラバード、ムンバイ、デリーにおいて実施した(2015年2月)。ハイデラバード、デリーでは、グレイ・マターズ(ハイデラバードの教育企業)、インド学校金融会社、インディア・インスティトゥート(デリーの教育NGO)などのLFP学校支援組織を訪問し、それらの活動内容や支援動機、および当該組織が拠点を置く各州の教育局の無認可学校に対する統制方針について確認した。またこれらの組織から支援を受けるLFP学校を訪問し、支援のインパクトについて確認した。さらに、無認可学校と同様に貧困層の子弟を対象に教育を提供しているが、その存在が、官民連携(Public-Private Partnership)モデルとして政府に公認されているムクタンガンを訪問し、「無償義務教育に関する子どもの権利法(2009)」(注*)によって閉鎖を迫られる無認可学校が学校として存続しうる方途を検討した(注*政府が定める認可条件を満たす学校のみを正規の学校として認める法)。これらの調査の実施にあたっては、インド国立教育計画経営大学やインディア・インスティトゥートに助言を求めた。 また本年度は、香港比較教育学会(2015年2月、香港大学)の「影の教育(Shadow Education)」(塾や家庭教師などによる学校外の補習教育)のセッションに参加し、「影の制度(Shadow Institution)」(公教育制度の枠外に位置づく無認可学校とそれを支える非公式の諸手続き等を意味する)との関係性について検討した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究実施計画で訪問予定であったLFP学校推進・支援組織を訪問し、質の高いデータを入手することができたため。また来年度の研究を進める上で、有益なネットワークを構築するとともに、研究課題をさらに発展させる事例(PPPモデル)の実態を確認することができたため。
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今後の研究の推進方策 |
引続き、各州政府の無認可学校に対する統制方針と、LFP学校の支援・推進主体に関する情報収集を行うとともに、それらの分析・解釈を進め、研究成果を国内外の学会等で発表する。
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