本年度は研究課題の最終年度であり、ケニアの「コミュニティ主体」の野生動物保全に潜む動物愛護の環境統治性についてのこれまでの調査・研究の取りまとめを行なった。今年度の前半は、前年度までの研究結果は地域研究(アフリカ学会、5月)、国際開発(国際開発学会、6月)、野生動物管理(International Wildlife Management Congress、7月)の各「学会・国際会議で発表を行ない、各学問領域の専門家と議論を行なった。その結果も踏まえて、8~9月と2~3月にそれぞれ約3週間行なった現地調査では、「コミュニティ主体」を掲げる動物愛護的な保全活動の進展を関係者への聞き取りも含めて行なった。この結果、動物愛護者がマサイ・オリンピックなどを通じて実現しようとしている環境統治の内容と、それに対して住民が示す戦略的な行動の両方についてより詳細な情報が得られた。最終的な研究成果としては、国際開発学会の学会誌に投稿した論文は受理済みであり、28年度初夏に公刊される予定である。
|