本研究の文献調査、聞取り調査を通じて得られた成果のうち、特筆すべき点は以下の2点である。第一に、近年の日本の更生保護、とりわけ保護観察においては、「当事者団体」が果たす役割に対する期待が高まるとともに、その射程も広がっていることが確認された点がある。第二に、本研究期間中、日本では刑事司法の実務にも顕著な変化が生じた結果として、これまでは更生保護の対象とならなかった者が今後、更生保護制度の枠組みの下で「当事者団体」とかかわる可能性が見出された点がある。 これらはいずれも、今後の日本の刑事政策にとって重要な課題を提起するものであり、本研究終了後も引き続き、考察を深めていきたいと考える。
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