本研究では,大学生の基礎学力の実態と,経年変化に影響を与える要因を明らかにした。基礎学力変化を入学時と入学1年後で比較したところ,総得点に有意差はなかったが,英語運用力は有意に上昇し,判断推理力は有意に低下していた。学力変化に影響している要因を検討したところ,精神的健康度が低い学生や希死念慮を有している学生の方が学力低下が有意に大きいこと,低体重群の方が学力が有意に高いこと,運動習慣や読書習慣のある学生の方が学力が有意に高いことが示された。大学生の基礎学力向上のためには,精神的健康度や運動,読書習慣などを含む生活習慣の向上を視野に入れた全人的アプローチが必要かつ有効である事が示唆された。
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