研究課題/領域番号 |
26885047
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
高城 宏行 神戸大学, その他部局等, 准教授 (70732379)
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研究期間 (年度) |
2014-08-29 – 2016-03-31
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キーワード | ダブルディグリープログラム / 学修経験 / 学修プロセス / 日本人留学生 / ヨーロッパ人留学生 / ベルギー / オランダ / イギリス |
研究実績の概要 |
本研究では、欧州の大学と連携して実施される大学院のダブルディグリー・プログラムに参加する日本人と欧州の学生をプログラム開始前から修了後までの学修経験を3段階:①留学直前、②第1セメスター修了時、③修了時に分けて追跡調査し、研究課題:(1)学生の学修経験やプロセス、(2)学生や留学先の特性による学修経験の違い、(3)学生の学修成果とプログラ ムの教育目的との整合性、(4)整合性がない原因と質の改善方法を明らかにする。プログラムの質の改善・保証に向けた課題を考察し、プログラムの普及・発展、それによる海外留学する日本人と日本への留学生の増加につなげることを目的とする。 平成26年度は日本人学生4名に対し第1段階の面接を(内3名はスカイプで)実施し、留学目的と動機、語学力、コミュニケーション能力、ジェネリック・スキルを含めたレディネス(留学準備が整った状態)、留学申請プロセス、留学への期待や不安などについて質問を行なった。次に第2段階の面接調査を留学後約3ヶ月経過した時点(内3名はスカイプで)と第1セメスター修了後に(留学先であるイギリス、ベルギー、オランダで)実施し、留学先の環境への適応状況、学業生活(科目履修状況、論文指導、学習成果など)、日常生活(大学寮の環境、課外活動、生活支援など)について質問した。またプログラムに関わる教員にもヒヤリングを行ない、4名の学生の学習・生活状況について意見を聞いた。 欧州からの留学生に対しては、既に日本留学中(留学後約半年経過時点)の3名に対し、第1、第2、第3段階の面接調査を行なった。第1段階については過去を振り返り質問に回答してもらった。 各段階で収集された日本人・欧州の学生の経験に関する定性的なデータをキーワード抽出・整理法により分析し学修プロセスを考察した。日本・欧州の有識者との意見交換により調査内容・方法に関しアドバイスを受けた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初の計画通り、欧州の大学と連携して実施される大学院のダブルディグリー・プログラムに参加する日本人学生4名に対する第1段階(留学直前)、第2段階(第1セメスター修了時)の面接調査を実施した。第1段階は留学目的と動機、レディネス、留学申請プロセスなどについてヒヤリングした。第2段階では、留学先の環境に適応するために重要な期間と考えられるプログラム開始後約3ヶ月経過した時点での面接調査を追加した。第1セメスター修了時に留学先(イギリス、ベルギー、オランダ)で行なわれた面接では、3ヶ月経過時点での経験や環境への適応状況と照らし合わせながら学業・日常生活についてヒヤリングした事でより詳細な学修プロセスを把握する事ができた。 同プログラムに参加する欧州からの留学生については、当初、平成27年4月からプログラムに参加する学生を対象としたが、参加者がいない可能性もあったため、既に日本留学中(留学後約半年経過時点)の3名を調査対象にし、第1、第2、第3段階の面接調査を行なった。第1段階については過去を振り返り質問に回答してもらった。第2段階では、プログラム開始後3ヶ月経過時点での面談はできなかったか、第1セメスター開始から修了までの学習経験・成果、環境への適応状況や気持ちの変化などを質問する事で詳細な学修プロセスを把握できた。 達成できなかった点として、3月の欧州出張時に今年度4月から日本に留学予定の欧州の学生に対し現地で第1段階の面談を予定していたが、その時点で留学予定者が不明だったため実施できなかった。また、欧州からの留学生に対する第3段階の面談について、3名中1名が日本での就職活動等で多忙にしており時間が取れなかったため、今年5月に延期した。延期により、就活状況やプログラム終了後の進路についてより具体的な話を聞ける事が期待できる。
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今後の研究の推進方策 |
27年度は9月に同日本人学生4名の第3段階(プログラム修了時)の面接調査を現地、または日本で学生、及び担当教員に対して行なう。学生には、学業面、生活面での成果、目標に対する達成度合い、自分に変化を与えた 出来事や問題点を含めた留学全体の感想、卒業後の進路、そして今後留学を希望する学生へのアドバイスなどについて質問する。担当教員には学生の学修経験や成果、今後の課題、更にはプログラムの改善点などについて意見を聞く。 欧州からの留学生については、昨年度調査した同3名の内残り1名の第3段階の面接を5月に行う。今年度からの参加者については、4月からプログラムを開始した学生(1~2名)に対し第1~第3段階の調査を実施する予定である。学生、及び担当教員に対しヒヤリングを行なう。 各段階で収集された日本人・欧州の学生の経験に関する定性的なデータをキーワード抽出・整理法により分析し一連の学修プロセスを考察する。そしてプログラムの案内やシラバス、担当教員への意見聴取などによりそれぞれの教育目的・手法・効果などを把握し、学生の学修経験・成果との整合性を検証する。また、各事例を比較分析し、相違点と類似点を挙げ、質の改善・保証、 及びジョイントディグリー・プログラムへの発展に向けた事例特有、またはプログラム共通の課題を提案する。 また、日本・欧州の有識者との面談、及び、論文の寄稿や国内外で開催されるカンファレンス(12月にイギリスで開催されるThe Society for Research into Higher Educationなど)での発表を通し、調査・分析結果に対するフィードバックを適宜受けながら効果的に研究を遂行する。
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