本研究課題の下では、流動的多角的法律関係に関する準拠法問題の解決方法を明らかにするための序論的研究に取り組んだ。各論研究として、特に法律関係の性質決定の困難が顕著となる信託と法人をめぐる学説及び裁判例の分析に取り組んだ。また、総論研究として、将来的に流動的多角的法律関係の準拠法問題に対して体系的な解決方法を構築するために、そのような法律関係の国際私法上の性質決定について検討を進めた。総論研究においては、写像・像・逆像概念を用いて法性決定理論を再構築する可能性が発見されたことから、今後の研究課題の構築のためにも意義があった。
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