平成27年度は、民事訴訟における将来の権利の取扱いに関する問題のなかでも、将来の給付の訴えと確認の訴えの関係につき、重点的に検討を加えた。 平成27年度の6月には、参加している研究会の一部である、関西民事訴訟法研究会若手研究会にて、「将来の給付の訴えと確認の訴えー適用される範囲とその区別ー」と題した研究発表を行った。この研究発表においては、日本法における将来の給付の訴えがどのような場合に適法となるのか、具体的には将来発生する権利や法律関係も対象となるのか、とのこれまでの研究を概説し、それに加えて、将来の給付の訴えによっては訴求できない事案、権利や法律関係を、確認の訴えの対象とすることは可能か、将来の給付の訴えと確認の訴えの適用範囲を明確に区別することは可能かとの点について、ドイツ法との比較を中心とした、現時点での考察を報告した。同年代の若手研究者や先輩にあたる先生方から、貴重なご意見をたまわった。この研究発表を通して、日本における確認の訴えとドイツにおける確認の訴えとの間には違いがあるのではないか、確認の訴えそのものについても研究を深める必要があると認識した。 さらに資料収集のため、平成27年度3月にはドイツ・ノルトライン=ヴェストファレン州のケルン大学に出張した。本研究に必要な資料を複写した。
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