本研究では参院選挙区の改選数の不均一な選挙制度が政党の選挙資源配分に大きな影響を与え,またこれが有権者の政治参加や利益代表にゆがみを生じさせている可能性について示した。具体的には2000年代後半の自民党と民主党による二大政党制が成立していた時期においては,いずれの政党も選挙期間中の党首選挙区訪問や有権者の動員活動を「無風化」した二人区よりも激戦の一人区へと集中的に配分したこと,また民主党がほぼすべての二人区において複数候補を擁立した2010年参院選では,二人区において投票率が有意に高まったことを明らかにした。
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