本研究の目的は、大学等高等教育機関においてアートマネジメント教育を受ける学生の長期的なキャリア育成のための取り組みの一つの方策として、アートマネジメント教育における学習と評価を有機的に関連させるためのポートフォリオに着目し、その活用可能性を検討する点にある。 平成26年度は欧州の大学院アートマネジメントコースにおけるポートフォリオ導入事例の実態調査を通じて、学生が「省察的実践者」であることを促進する手段としてのポートフォリオに着目し、その機能や内容、背景にある教育理念、教員の役割等についての分析を行った。 平成27年度は、アートマネジメント教育におけるポートフォリオの理論的な位置づけを検討するため、教育観に関する概念的考察を行うとともに、国内外のアートマネジメント人材育成に関連するプロジェクトにおいて参与調査を行い、学生の省察行動を促し深めるために必要な学習環境・空間、人的関係等の分析を通して、ポートフォリオに必要な要件と機能を導出した。 これまでの研究成果の一部を学会にて発表したが、今後はこの2年間の調査研究により得られた知見を論文等として発表していくものである。
|