研究課題/領域番号 |
26885060
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研究機関 | 福島県立医科大学 |
研究代表者 |
伊藤 慎也 福島県立医科大学, 医学部, 助教 (30736707)
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研究期間 (年度) |
2014-08-29 – 2016-03-31
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キーワード | エンパワメント / セルフ・スティグマ / 放射線 / 信頼性と妥当性 |
研究実績の概要 |
福島第一原子力発電所の事故以降、妊産婦の放射線被ばくへの不安が強い。将来、妊娠出産をする女性が、放射線被ばくに対する偏見・差別(スティグマ)に曝されることで、自身へのセルフスティグマを抱き、母子の精神健康度に負の影響を及ぼすことが予想される。このような外因性および内因性のスティグマに曝露するリスクが高いグループへの支援の視点として、エンパワメント(住民、行政、専門家の主体的な活動能力の向上)が注目されている。 本研究では、放射線被ばくに対するスティグマによって、妊娠出産へのセルフスティグマを抱いている女性が、エンパワメント強化をする上で必要な支援内容の明確化及び支援プログラム開発に貢献するために、放射線被ばくによる妊娠出産への不安に対するエンパワメント評価尺度の作成ならびに信頼性・妥当性の検討をする。 平成26年度は、エンパワメント評価尺度の項目作成を目的として、①他領域のエンパワメント評価尺度のシステマティックレビュー及び、②福島県民健康調査で「妊産婦に関する調査」に関わる臨床家、放射線被ばくに関する専門家へのヒアリング調査を行った。 システマティック・レビューでは、検索エンジン「Pubmed」「Web of Science」「PsychoINFO」、キーワード(“Self-stigma” OR “internal* stigma”) AND (measure* OR assess* OR instrument OR question* OR scale)、最終検査日を2014年12月19日として検索を行い、セルフスティグマ尺度の比較検討を行った。また、専門家へのインタビューでは、福島県でメンタルヘルス対策に携わる心理士、精神科医、産科医、教員を対象に面接調査を行い、エンパワメント評価尺度に必要と考えられる項目の検討を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
システマティック・レビューおよびエンパワメント評価尺度作成がやや遅れている。「セルフスティグマ」というテーマは、精神医学や心理学など幅広い研究領域で研究が進められており、当初予定していた「セルフ・スティグマ」のレビュー以外にも幅広い領域での文献検索を実施することとした。 エンパワメント評価尺度の項目選定の際に、当初想定していた以上に、専門家らと打合せを重ねたため、年度内にエンパワメント評価尺度項目の完成に至らなかった。
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今後の研究の推進方策 |
平成27年度は、(1)エンパワメント評価尺度の作成、(2)エンパワメント評価尺度の信頼性と妥当性検討を通じて改訂版エンパワメント評価尺度の作成、(3)結果の公表を行う。
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