平成27年度は、放射線被ばくによる妊娠出産への不安に対するエンパワメント評価尺度(Fukushima Future Parents Empowerment Measure(FPEM)尺度)の作成ならびに信頼性・妥当性の検討を行った。 尺度の項目抽出を行うために、① 国際的に使用されているセルフスティグマ、エンパワメント評価尺度を4つ選択、② 4名の専門家(精神科医、臨床心理士2名、教育学者)が独立に4尺度の項目を評価、③ 3名以上が「有用」と判断した27項目を、3名の専門家が再評価、④ 3名の専門家が「有用」と判断した10項目を暫定版FPEM尺度とした。 暫定版FPEM尺度の信頼性と妥当性を検討するために、福島県の女子学生310名を対象に、無記名自己記入式の質問紙調査を実施した。尺度の信頼性係数を検討するためにα係数を算出した。構成概念的妥当性を検討するために探索的・確認的因子分析を行った。基準関連妥当性を検討するためにFPEM尺度、自尊感情尺度、自己効力感尺度、放射線リスク認知の相関係数を求めた。 これらの結果より、FPEM尺度(6項目版)およびFPEM尺度2項目版を作成し、許容範囲の内的一貫性、内容的妥当性、構成概念的妥当性、基準関連性が確認された。FPEM尺度は、放射線被ばくによる妊娠出産に対する不安に対するエンパワメント評価をするうえで有用であることが考えられる。
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