本研究の目的は、職場における個人間のネットワークが、個人や職場全体のパフォーマンスに与える影響およびそのメカニズムを明らかにすることである。①社会環境の変化に伴う職場における人間関係の変容、②働く人の組み合わせや関係構造の検討という施策の相対的・短期的な実現可能性の高さ、③研究成果の幅広い業種・職種における適用可能性、といった背景・理由から、本研究は学術的のみならず実務的にも大きな意義を有している。そのため、本研究課題では、広く一般に対して情報発信を行い、研究成果を一般社会へと還元していくことにも力を入れて活動を行った。また、研究課題の最終年度であることから、研究成果を発表することに注力した。学術的な貢献と実務的な貢献の両方を達成することを目的として、平成27年度は以下のような調査・研究・活動を行った。 前年度までの調査・研究を継続・発展させる形で定量的・定性的な調査を行い、投稿中の論文も含めて、調査データに基づいた研究成果や事例研究という様々な形で成果を発表した。研究および情報発信の場として立ち上げた「組織におけるキャリアとワークスタイル」研究会を7回開催し、その成果の一部は事例研究として既に発表済である。また、平成27年度に取得したキャリア、ワークスタイル、キャリア教育に関する学内研究費と連携を取り、より幅広く研究活動を推し進め研究成果を出版できた。さらに、一般に対する情報発信については、大学での講義、企業内研修、一般公開の研究会、SNS、などの様々な場で行えた。 未発表の調査・研究の内容は、平成28年度以降に研究成果を公表していく予定である。また、本研究課題と前述の学内研究費の研究課題を発展させた後続研究として、平成28・29年度に採択予定である若手研究B・課題番号16K17173「個人の持つネットワークがキャリアに与える影響の定量的・定性的研究」を実施する予定である。
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