本研究では、教育改革下における美術教育について、政策的視座から検討を行った。そこでは、学校カリキュラムを構成する四つの理論として、教科(学問中心)主義、子ども中心主義、社会改造主義、社会効率主義の立場を、歴史および理論の両面から考察し、美術教育を分析する枠組みとした。このときの四類型の背景として、社会科学における近代社会の三つの力点、すなわち市民社会、国家行政、市場経済を置いた。そして、行政システムの分化原理と、市民社会とそれを構成する中間集団としての地域共同体への統合原理に着目し、統合型教科主義と社会改造主義を特に取り上げ、美術科のカリキュラム編成へ向けたモデルを提案した。
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