本研究は、「なぜわが国の私立大学が基本財産を保有し、資産運用 (資産保有・運用) するのか」という研究課題を解明することを目的とした。この研究課題に対して、本研究では、「わが国の私立大学は基本財産を保有し、資産運用することによって、当該大学の財務健全性を高め、それをシグナルすることによって学生・寄附者を追加的に獲得している」とする「財務健全性シグナリング仮説」を2008年から2013年における約3,000私立大学のサンプルを用いて統計的に実証分析した。分析の結果、収支差額比率及び基本財産比率が高く、新規の情報開示を行った場合、追加的に検定料及び授業料を獲得していることを発見した。
|