今年度は、第1に、イギリスでの訪問調査及び資料収集をおこなった。まず、大学教育の質保証及び専門職教育のベンチマークを作成しているQAAを訪問し、HCPCや専門職団体、大学機関との関係性を中心に、今後の質保証の動向についてうかがった。次に、Skills for Careでは、ソーシャルワーカーとして働き始めた者が一年目に受講することが義務付けられているASYEについて、担当者から話をうかがい、資料を収集した。ASYEは法的な拘束力はないが、能力基準の確保という意味では必要不可欠であると認識されている。次に、養成大学では、実習教育を担当している教員から話をうかがい、関係資料を収集した。その結果、実習教育は、教員、学生、実習指導者(Practice Educator)の3者の関係で成り立っており、密接に連携することで実習が成り立っているということが明らかとなった。これは2014年に実施したソーシャルワーカーへのインタビュー調査の結果と共通している。実習指導者の教育は大学でおこなわれ、CPDの1つの選択肢となっている。また、養成機関での調査から、現在SW課程はLGAなどからの奨学金がなく、就職先の確保も以前と比べて難しくなっているなど、需要と供給のバランスが定まっていない様子も示唆されている。これは日本と同様の傾向であり、今後さらなる研究がもとめられる。 第2に、これまでの研究をふまえ、ソーシャルワーカーの職業的社会化を考える上で、1つの軸となるCPDについて、HCPCのCPD基準を中心に、それをめぐる制度的変遷を跡付けながら、プロフェッショナリズムにおける変化の視点から考察をおこなった。その結果、組織原理や政府の政策などがCPDの制度的変遷に少なからず影響を及いることが浮き彫りとなった。
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