本研究では、アメリカ合衆国の学習障害児支援システムであるRTIについて、過去の学習障害をめぐる言説をふまえて、その意義と課題を再検討することを目指した。まず、アメリカにおいて学習障害児への公的な教育が充実していく1970年代後半~80年代の雑誌論文を調査し、中西部の大学や地域教育局において先進的な研究や実践が行われていたことがわかった。そこで次に、その関係者らの現在のRTIに対する立場を調査した。その結果、LDサミットやRTIシンポジウムといった、RTIに関する初期の全米的な意見集約の場に複数の関係者が参加しており、いずれもRTI支持の立場から主張を展開していることが明らかとなった。
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