本研究では、政府規制の対象となる独占企業が私的な情報を保有する状況をゲーム理論のモデルとして定式化し、「市場放任」状態と比べて、「情報公開」の制度的対応が、財配分の効率性と社会構成員間の分配に対していかなる影響を及ぼすかを明らかにした。とくに、市場放任時には、ゲームの均衡で独占企業が選び得るメカニズムの中で「LCS(Least-Cost-Separating)メカニズム」と呼ばれるものを分析の主眼とする。分析の結果、LCSメカニズムは「参加補償付きの(ほぼ)固定価格」という単純な形式をとること、「情報公開」時と比べて「市場放任」状態では過少供給問題がさらに深刻化することが示された。
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