本研究は昭和戦時期の日本政治を対象とした。一般に当該期は体制が破壊された時期と見なされている。それに対して本研究では、戦時体制の中の安定的な側面に着目した。その上で当該期の国内の体制秩序観について検討し、主に議会政治家・経済官僚群・知識人などを分析の対象とした。調査を実施する過程で当時の雑誌資料・公文書・私文書・刊行物などから多くの有益な知見が得られた。本研究の進展の結果、平時・戦時の二つの枠組みに基づいた体制秩序意識の把握の手掛かりが得られた。途中段階での研究成果として『昭和立憲制の再建 1932~1945年』を刊行し、関連分野の研究者から受けた反響をその後の研究の展開に活かすことができた。
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