本研究は、規制改革が進まないとされる日本の規制と社会の関係を探るべく、規制をめぐる「生産者カルテル」のゆらぎの実態を分析するとともに、そうしたセクターごとの多様性を説明する政治的メカニズムを解明するものである。各セクターのレントに着目した分析結果から、政治制度改革を経て、特殊利益を維持することが従前と比べて難しくなってきている中で、利益維持に比較的成功しているセクターと、そうでないセクターが存在していることが明らかとなっている。さらに、こうした利益維持においては、セクター内部での集合行為をめぐる政治的メカニズムが機能していることも検討されてきた。この実証を精緻にすることが引き続きの課題となる。
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