研究課題/領域番号 |
26885092
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研究機関 | 立正大学 |
研究代表者 |
鈴木 尊明 立正大学, 法学部, 講師 (50739638)
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研究期間 (年度) |
2014-08-29 – 2016-03-31
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キーワード | 民法 / フランス法 |
研究実績の概要 |
平成26年度については、本研究課題に関連したフランスでの学会(2011年開催)の情報の収集を、活動の中心に据えていた。これについては、これまでの研究活動によって構築したフランス人研究者のネットワークを活用し、活字媒体になっているものからさらに手を広げて、直接聞き取り調査を行いたいと考え、2015年2月からパリとストラスブールでの研究調査を実施した。 調査の際、我が国の民法(債権関係)改正作業において焦点となった、民法の「あるべき姿」、「取引の際に拠って立つことのできるデフォルト・ルールの作成」という改正の趣旨を意識し、複数人に権利が帰属する場合には、分割が原則なのか、連帯・共同が原則なのか。基本的には当事者間の合意によって決定される事項ではあるものの、デフォルト・ルールとして何がふさわしいのか。このような視座を持ってあたったところ、フランス人研究者から、「合意」を中心とした枠組みについての示唆と(これは当初予想された調査結果であった)、それに加えて、「複数人への権利の帰属」だけでなく、「複数の契約の帰属」についても意識すべきことについて示唆を受けた。 また、本研究課題に関連した日仏双方の文献、とりわけフランス法関連文献は我が国にほとんどもたらされていなかったため、これらの収集にも力を入れた。特に、Mignot教授(ストラスブール大学)からは、自身のテーズ(博士論文)執筆の際に収集した資料の全てを開陳され、それを譲り受けることができた。これにより、ことフランス法関連文献の収集については、そのほとんどを達したといえる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
フランスにおける研究調査については、当初計画では、平成26・27年度の両方での実施を予定していた。しかし、平成26年度の間に、まとまった期間の調査を行うことができたこと、フランス人研究者の協力によってフランス法関連文献の収集をほぼ終えることができたことから、この局面においては当初計画以上に進展しているといえる。 それに対して、研究成果の公表の局面においては、平成26年度中にはこれをなすことができなかった。勤務校での業務や、当初計画よりも長期間の研究調査を実施したことがその理由である。ただ、現在、出身校紀要(早稲田法学会誌)に成果の一部を公表予定である。 以上から、全体としてみて、本研究はおおむね順調に進展しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
フランスにおける研究調査と、フランス法関連文献の収集については、平成26年度中にそのほとんどを終えることができた。 平成27年度については、若干残った資料の収集にあたるとともに、研究成果の公表を進めることとする。具体的には、既に出身校紀要(早稲田法学会誌)に成果の一部を公表する予定である他、他の雑誌(立正法学、早稲田大学法研論集)への投稿も既に手続を進めている。その後も文章化して公表を進める予定である。 そして、学会・研究会報告も予定しており、既に北陸フランス法研究会(金山直樹〔慶應義塾大学教授〕主催)での報告が内定している。このような場での専門家との情報交換を経て、研究成果の精度を高めていくことを平成27年度の目標とする。
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