研究成果の内容:本研究の目的は、行政調査(行政目的実現のための行政による私人からの情報習得活動)における行政目的達成と人権の調整ルールの模索であった。 2015年度は、(1)引き続き日本の個別分野の状況について知見を深めるとともに、前年度の研究の成果の発表に努める、(2)海外での発表、研究者との情報交換、(3)博士論文執筆を計画していたところであるが、いずれも概ね達成することができ、現在は博士論文に成果をまとめる作業に専心している。 (1)については、特に2015年になされた独禁法審査手続の改正について、関係者の議論と問題状況について調査し、関連文献を渉猟して情報収集を行った。(2)については、米国法社会学の学会で発表した。(3)については、米国行政法の基礎を学び研究の基盤を構築するとともに関連する日本語文献を渉猟した。また、米国のsearch and seizureに関連する図書を収集し、読み込みとまとめを行った。特に、修正4条に関わる様々な法原則、判例法理について、その内容、賛否の学説、日本の行政調査法への応用可能性について検討を重ねた。
具体的成果:2015年5月には米国Law & Society Association年次総会において口頭発表を行い、7月には関連する日本の判例について評釈記事を発表した。また、紀要2種に各1編の論稿を掲載した。食品安全関係法の弁護士会研究部を主宰し、同分野での調査手続について、食品会社やコンサルタントからの情報収集を行った。
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