冷戦期の非民主主義体制の主流は一党独裁体制であったが、冷戦後の世界では、政府=与党に選挙で勝利することが極めて困難であるにもかかわらず、公式制度の上では野党が許容され、与野党間で定期的に競争選挙が行われる選挙権威主義体制が独裁体制の下位類型として主流となった。 しかし、既存研究は一党独裁体制と選挙権威主義体制とを理論的に区別しておらず、従って選挙権威主義体制に時に存在する「組織化された野党」を分析できないという問題があった。本研究は、一党独裁体制と選挙権威主義体制を区別した上で、選挙権威主義体制にのみ存在する組織化された野党の意義を理論化した。
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