研究課題/領域番号 |
26885103
|
研究機関 | 新潟医療福祉大学 |
研究代表者 |
佐藤 裕紀 新潟医療福祉大学, 健康科学部, 助教 (60734001)
|
研究期間 (年度) |
2014-08-29 – 2016-03-31
|
キーワード | 比較・国際教育学 / 教育制度論 / デンマーク教育研究 / 生涯学習論 / 従前学習認証 / ノンフォーマル教育 / 学習成果の認証 / 社会教育 |
研究実績の概要 |
生涯学習政策において、「人々の多様な学習・社会経験を認証する制度」は具体的にどのようなものであろうか。本研究は、この問いに対する回答を得ることを目指す、デンマークをフィールドとした質的研究である。具体的には、本研究は、デンマークにおける「従前学習認証」導入後のノンフォーマル成人教育機関における活用の内実を明らかにすることを主目的としている。 目的を達成するための具体的手続きとして、まずデンマークの2000年以降の生涯学習政策や「従前学習認証」について制度的観点、政策的観点、機能的観点等から多角的に整理する。次いで、各々が特色を持ち、自律的な運営を行っている各ノンフォーマル成人教育機関での「従前学習認証」の活用実態の分析を行い、最終的には各ノンフォーマル成人教育機関での「従前学習認証」の活用モデルを考察し特質を導き出すことを計画している。 研究開始年度である平成26年度は、2000年以降のデンマーク政府機関発行の公的文書の収集と分析、関連する成人教育機関へのインタビュー及び資料収集を行った。また、従前学習認証に関する各国の動向、関連する研究を整理し把握することに努めた。 これらの作業により、デンマークの各ノンフォーマル成人教育機関の従前学習認証の活用に対する肯定的、または否定的な姿勢についての基礎的な情報を把握することができた。特に生産学校に関しては具体的な取り組み内容を明らかにすることができた。但し、平成26年度は、関連研究の整理や把握、収集した文献や資料の翻訳に注力したため、平成27年度は、モデル化を検討するための主にフィールドワークを中心とした具体的な事例、素材の分析作業がより必要とされるため、注力して行っていく予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度である平成26年度は、関連研究の整理、把握とデンマーク現地での資料収集に重きを置いていたため、その意味ではおおむね順調に進展している。従前学習認証の活用の動向について、生産学校に関しては活用内容を一定程度明らかにすることができた。但し、当初計画では2度デンマークに赴き調査を行う計画であったが、関連文献の収集、翻訳、整理に注力したため、平成26度の訪問は夏季の1回に留まった。この初年度の整理、把握を土台として、27年度は各成人教育機関でのインタビュー、資料収集に努めたい。
|
今後の研究の推進方策 |
初年度の結果を踏まえて、最終年度である平成27年度は、デンマークの各成人教育機関へのインタビューと資料収集に努め、デンマークにおける従前学習認証の特質を導き出し、モデル化を試みたい。またモデル化にあたっては、対象の焦点化を行い、主に生産学校及びデイホイスコーレでの実態を中心に明らかにしていく。また、昨年度は訪問が1回に留まってしまったが、今年度は研究計画に基づき、より積極的なフィールドワークを行なう等、デンマーク現地の学校、教員、政府機関とより緊密な関係を築き研究を行っていく。
|